狼様の愛のカタチ理論【番外編】
そんな他愛もない会話を繰り返していると、私の後ろにいる左汰がゴホンと咳払いをした
「えー…失礼ですが、沙優との会話はそのくらいにしてそろそろ部屋に移動したらどうですか?」
「え?」
「あ、そ、そうですよ!右汰の言う通りですよ!」
こんな会話をしてる暇はなかったんだ。私にはみんなを案内する役目がある
だから、任されたことをしなくちゃいけない
「呉羽さん、部屋に案内します」
そう言うと、部屋に促そうとするわたしを呉羽さんは片手で制した
「いや、いいよ」
「え?」
「俺にそんな気を使う必要はないからさ」
「で、でも…」
「俺なんかより、残りの二人に気をつかいなよ。二人とも個性的だから…きっと沙優は疲れるだろうし」
「?」
少し謎めいた言い方にハテナを浮かべながら首を傾げると、呉羽さんはピクッと体を震わせてドアの先を見つめる
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