狼様の愛のカタチ理論【番外編】
「でも、だからと言って君達は焦り過ぎじゃないか?もしかしたら、扇李が寵愛するかもしれない」
「それは、考えられないです…なにせ扇李は花嫁に冷たいですから。ここまで冷たいのは初めてです」
そんな彼らの議論を目の前に私はそっと海鈴さんを掴んでいた手を離した
「扇李は頑固ですから態度は変わらないでしょう。そうなれば新しい花嫁を見つける…いえ、候補は沢山いるんです。ですから海鈴殿が彼女と上手くいけば我々は大歓迎なんです」
「………」
「今日も別々に来たみたいですし…沙優様、花嫁の権利を放棄して下さいな。扇李と天界のために」
そんな……
返す言葉を言わさないように次々投げられる言葉に胸が痛む
扇李の花嫁をやめるなんて考えられない。離れたくない。それだけ扇李が大好きなんだもん
だから……
「あの…わたし…本当に失礼しますっ」
逃げるように頭を下げて、今度は手を掴まれないように踵を返した時だった――…
・