赤い下着の主

 冷静さがなくなると、意地の悪いことを言いたくなってしまう。

「この体だって、誰かにヤラせた後なんじゃないの?」

「あんただって、誰かとヤッてきたばっかりなんでしょ?」

 同じ質問が帰ってくると、もしかしたら彼女も同じ気持ちなんじゃないかと勘違いしてしまう。

「してねーから」

「あたしだってしてない」

 俺、何言ってんだろ。

 2回ヤッたくらいで彼氏気取りかよ。

 先生も先生だ。

 俺なんか相手にムキになるなよ。

 泣きそうな顔するなよ。

 ていうか泣くなよ。

「今日は……友達の出産祝いで……それでっ」

 涙を見たらハッとした。

 バカだな、俺。

 先生にこんな顔させて。

 デートなら、こんな時間に帰るはずがないって、頭ではわかっていたのに。

 ごめん、先生。

「もう……何も言わないで、先生」

 重いかもしれないけど、体をこれでもかというくらいしっかりくっつけて唇に吸い付いた。

 舌を絡ませると、ほんのり涙の味がする。

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