赤い下着の主

 それではいけないと、美奈実は何度か自分から求めてみたりもした。

「ねぇ、しよう?」

 彼は仕方ないなぁと応えてくれたことも二回くらいあったけれど、大体は疲れているからまた今度と言って断られた。

 そして、仕事が立て込み毎日帰宅するのが12時を過ぎてしまっていた昨年の夏。

 美奈実はそれでも掃除や洗濯に精を出した。

 しかし気に入っているTシャツがシワになっているなどと優しい口調で小声を漏らす彼。

 そして極めつけは

「しよう?」

 と誘ったときの一言だった。

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