赤い下着の主

 長い時間を同じ空間で過ごすようになれば、顔を見飽きることだってあるだろう。

 長く付き合っていたから、互いを知り尽くしていたし、大体の場所には一緒に行ったし、刺激はない。

 それでも、美奈実は彼が好きだった。

 だけど、身体を求めることさえしなくなった彼の気持ちがわからなくなり、美奈実は彼女としての自信を完全に喪失してしまったのだ。

 も何度か浮気も疑った。

 だけど平日は大体美奈実より先に帰っているし、休日はほとんど出掛けない。

 怪しい電話も鳴らなければ、コソコソ誰かとメールをしている様子もなかった。

 浮気を疑える材料なんて、どこにもなかった。

 妻でも彼女でもなくった自分は、もはや家政婦でしかない――

< 157 / 350 >

この作品をシェア

pagetop