赤い下着の主

「何かあったの?」

「……いえ」

 何かありましたと顔に書いてある。

 あまりにもそっけない態度に、美奈実はちょっとだけ腹が立った。

「言いたくないなら、聞かないけど」

 そして今度は美奈実が一人で歩き出す。

 しかし歩いているうちに腹を立ててしまった自分が情けなくなってきた。

 生徒相手に、なにムキになってるんだか。

 美奈実は深呼吸をして、彼を待ってみることにした。

「先生」

 数分後、梶原が弱々しい足取りで追いついた。

 美奈実は勇気を出してこう言った。

「ねえ、うち、寄ってく?」

「そんなこと言っていいんですか?」

 は?

「本当はダメだと思う」

 そんなこと、はじめからわかりきってたことじゃない。

「だったらやめといたほうがいいんじゃないですか」

 な、何よそれ……!

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