赤い下着の主

「なんか、お久しぶりです」

 優が言うと、玉置フフッと笑う。

「ほんとね」

 改札を出て歩き出す。

 例年より冷えているという12月の風が容赦なく二人の間を吹き抜けた。

 少し前であれば寒さを理由に寄り添うことができたかもしれない。

 しかし今となっては、寒さに肩をすぼめる彼女を温めてやることができない。

 この寒さだ。

 きっと玉置の手はキンキンに冷えている。

 しかし玉置の手を温めるために存在する優の手は、手持ち無沙汰に制服のポケットの中。

 玉置の手も、チェック柄のポケットの中だ。

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