赤い下着の主

 それが優の唇を意味していることを悟り、慌てて自らの唇に触れてみる。

 べたっと指に何かが付く。

 指に付いたそれは玄関の照明に照らされて、化粧品特有のパール感を放っていた。

「ふーん」

 姉はニヤニヤ笑いながら、自室へと戻っていった。

 優は自分の唇を手の甲でゴシゴシ拭いながら、それでも不安だったから洗面所で手と同時に

 顔も濯いだ。

 心臓はまだ激しく動いていた。

 何とかパールとべたつきがなくなっても、

 鼓動による手の震えはまだ治まってはいなかった。



 これが、つい数日前の出来事だ。

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