赤い下着の主

「先生、眠そう」

「眠いの」

 笑う童顔、梶原。

 愛しくてドキドキする。

 しかし高校生の体というのは、無駄な肉がなくて美しい。

 社会人になってからというもの、腹筋の割れた男と寝たのはこれが初めてだった。

 若い頃に比べるといくらか肉のついてしまった自分の体が恥ずかしい。

「起きたばっかりじゃん」

「あんたのせいよ」

 照れ笑い、可愛い。

 黒くてサラサラの髪の毛をクシャクシャして抱きしめたくなる。

 でも、しない。

 愛しく思っていることを知られたくない。

 この期に及んで教師面をしたくなる。

< 58 / 350 >

この作品をシェア

pagetop