赤い下着の主

 ベッドの下でヘタれている彼の服を取り上げ、彼の顔に投げつける。

「ぶはっ」

 美奈実なりの照れ隠しだ。

 笑い合いながら衣服を身につけると、気恥ずかしい雰囲気も吹き飛んだ。

 ぼやけた視界をクリアにしようと、教師の仕事をするために新調したお気に入りのメガネをかける。

「ちょっと待って」

 梶原はせっかくクリアになった視界を再び曇らせた。

「なによ」

「もうちょっと見たい。先生の素顔」

 メガネを奪った梶原は、ふにゃっと顔を歪ませた。

「その顔、学校では誰にも見せないで欲しい」

「……はあ?」

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