憧れの彼と恋する方法
「由希さん!」
スタジオの廊下、私を呼ぶ大きな声が聞こえた。
沙羅ちゃんだ。
昨日の事を言われるのだとしたら、正直言って、聞きたくない。
あれからどうなったかなんて、考えたくない。
「昨日はすいませんでした」
私に向かって頭を下げた。
何事もなかったかのように、私は平然を装う。
「ううん、別に大丈夫だよ」
「竜司さんが来てくれたんで、ビックリしちゃいました」
私が行けって言った。
行くのは当然だよ、竜司君は沙羅ちゃんの事が…。
「由希~!ちょっと来て」
控え室から顔を出して、舞美が私を呼んだ。
「あ、沙羅ちゃんごめんね…また後で」
沙羅ちゃんにそう言って、私はその場を去った。