憧れの彼と恋する方法
控え室に入ると、舞美は椅子に座り黙って台本を見つめていた。
「舞美…」
きっと、私の気持ちを察してくれたんだ。
「あのさ~由希」
舞美が台本を置いて、私の方を見た。
「本当にこのままでいいの?諦められるの?」
諦められる?
違う、諦めるとか諦めないとかじゃなくて。
「竜司君の事は、大好きだよ」
舞美の隣に座り、そう言った。
「だけど、誰もが好きな人と結ばれるわけじゃない。
特に私の場合は、一般人とアイドル」
「でも、そんな事…」
「関係ないって思う?関係あるよ…。
やっぱり、最初から住む世界が違うんだもん」
私は、わざと明るい口調でそう言った。
もう吹っ切ったから。
そう言わんばかりに。