憧れの彼と恋する方法


昨日の出来事を思い出すだけで恥ずかしくなる。

無意識とはいえ、竜司君にあんな事。


だけどあの時、私は竜司君を抱きしめずにはいられなかった。


大好きな人の心が泣いていたから、その気持ちを少しでも和らげてあげたいって思ったんだ。


でも、あの時私は言うべきだったのかもしれない。


自分に正直になって、本当の気持ちを。



あれからしばらくの間、竜司君とまともに話す機会はなかった。


そして今日も、終盤に近づいてきた撮影が慌しく始まった。



「由希おはよ」


私の少し後に、舞美が控え室へと入ってきた。


「おはよ」


毎日此処でヘアメイクをする事が当たり前になっていた。


もうすぐ終わってしまうのに、それでもまだこれからもずっと此処に通えるんじゃないか…

そう勘違いしてしまう。

< 215 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop