憧れの彼と恋する方法
昨日の出来事を思い出すだけで恥ずかしくなる。
無意識とはいえ、竜司君にあんな事。
だけどあの時、私は竜司君を抱きしめずにはいられなかった。
大好きな人の心が泣いていたから、その気持ちを少しでも和らげてあげたいって思ったんだ。
でも、あの時私は言うべきだったのかもしれない。
自分に正直になって、本当の気持ちを。
あれからしばらくの間、竜司君とまともに話す機会はなかった。
そして今日も、終盤に近づいてきた撮影が慌しく始まった。
「由希おはよ」
私の少し後に、舞美が控え室へと入ってきた。
「おはよ」
毎日此処でヘアメイクをする事が当たり前になっていた。
もうすぐ終わってしまうのに、それでもまだこれからもずっと此処に通えるんじゃないか…
そう勘違いしてしまう。