憧れの彼と恋する方法
「ねー由希」
メイクをしていると、舞美がいつものように鏡越しに話し掛けてきた。
「なに?」
「もうこれが最後だから聞いて」
「どうしたの?突然」
舞美がいつもより真剣な眼差しで私を見つめた。
「もうしつこく言わないから、これが最後」
「ん?うん」
「竜司君の事」
メイクをしている私の手を止めさせ、その手を握った。
「舞美…?」
「好きな人の幸せを願う事は素敵な事だと思う。
だけど、それって結局諦める理由にすぎないと思うんだ」
本当の事を舞美に言われてしまった。
好きな人の幸せを願うから身を引くなんて、本当は嘘。
幸せを願うなら、自分がその人を幸せにしてあげたい。
これが本当の気持ちだった。