憧れの彼と恋する方法
どうしよう…、本当に分からない。
これ以上聞いたら、舞美怒るかな?
「もう春だね~。少しずつ暖かくなってるし」
舞美がのん気にそう言いながら、運転席の窓を少し開けた。
でも早いとこ今のこの状況を把握しなくちゃ。
だって、バイト休むって連絡してないし…。
「ねー舞美、ごめん。
撮影?の事とか、ちょっと私まだ寝ぼけてるみたいで、詳しく教えてくれる?」
本当は寝ぼけてなんかないけど…。
「ったく信じらんない。
これから青山スタジオでドラマの撮影でしょ。
私が女優になって初のドラマ出演なんだから、寝ぼけた頭を早いとこ起こしてよね」
「じょ、じょ、女優!!?」
「何そんなに驚いてんの?今日変だよ、由希」
そりゃ変だよ。
だって、女優とかドラマとか撮影とか有り得ない話を聞かされて。
かといって、舞美が嘘言ってるようには思えないし…。