首(外道×貴族)【BL】
「入ったぜ」
報告をした頃には、ルカスは朦朧と宙を眺めたまま、
反応を寄越さず、ぐったりとしていた。
「でかかったか?エリックの親父さんの奴より?
 なぁ、この穴使ってたのってやっぱあの人なんだろ」
「・・・」
口端から零れた唾液を腕で拭ってやり、
視線の先にこちらの顔を運ぶ。
視界にキケロの映ることが忌々しいというよう、
そっぽを向いたので、加減無しに腰を動かした。
「・・・ッ!!」
声よりも身体が、素直に反応し、
ぬるりと内部で起こった締め付けに、
キケロは軽く眩暈を覚えた。
「お・・・まえっ」
名器という言葉が浮かび、遭遇できた喜びを思った。
「才能、あるぜ」
本心から囁いたが侮辱と取ったのか眉を顰められる。
「んン・・・!ふッ・・・ふぅ・・・ぅ」
ルカスの、噛み締められた歯の隙間から漏れる息の湿りと、
青白い部屋の中、浮かび上がる首筋が世界のすべてだった。
勝った、屈服した、蹂躙した。
さらには、予想外に質の高い性交を楽しむことができた。
高揚感も混ざり動きが荒くなる。
「うあっ・・・あアッ・・・っぁ!」
余裕の無い繰り返しは、犯罪であるこの行為特有の、
遊び気の無い雰囲気と混ざり、本能が騒ぐ。
「っは、ぁア!」
ほんの数分前、なんの乱れもなく、
器用に観測具の組み立てをしていた指が、
自分の背を狂おしく、掻いている不思議。
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