首(外道×貴族)【BL】
「今の音、何だよ、何企んでやがった?!」
「ッサリトが・・・もし・・・おまえが俺と関係を持ったことを、
 知ったら・・・おまえはどうなるんだろうな、
 紛れも無く強制の、俺に非の無いおまえの一方的な、
 行為を知ったら・・・と、思ってな?」
数分前ルカスの口にした証拠、それが今録られた。
「なるほど、恐ろしい野朗だな、つくづく!」
今朝の襲撃を意図したのがルカスであったら、
充分、キケロには衝撃だった。
この企みが成功していたことを思うと、
衝撃どころか畏怖するであろう。
その一方で、今、この底の知れない目の前の男は、
自分に組み敷かれ痴態を晒している。この愉快さは何か。
「あッ・・・!」
「妙な確認をして来やがったのも、
 このためか・・・!」
「うぁ・・・っ」
深くへ侵入され、苦しくなり目を細めればキケロの冷たい視線とかち合った。
ルカスの胸にどしりと重いものが圧し掛かる。
「この部屋のどっかにあるんだろ、
 簡単だ、音のした位置に目ぼしいものがあったら、
 片っ端から壊せばいいんだからな」
「・・・」
当然、取られるだろうこと対処、
一番に確実な一番に絶望的な方法だった。
「あァッ・・・!」
心の変化に関係せず、快楽の声は容赦なく上がる。
「んぁ・・・う・・・っはぁ・・・、あ」
フツ、と切れたのは熱意だった。
ルカスの精神は疲れで鎮まった。
怒りが馬鹿らしく、短絡的に攻撃を図る、
自分が憐れに見えた。
「んっ・・・」
諦めたわけではない、ただ純粋に疲れた。
上手くいかない時期はいつでもある。
キケロとの勝負に負ける気はなかった。
しかし心を一先ず休めたいと思う。
そのために身体には犠牲を払うだろう。




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