首(外道×貴族)【BL】
「っつーか、まじでもたもたしてんなよ、
 呼ばれてんだよ、俺は」
「?」
「エリックの奴、結局俺が戻ったら戻ったで、
 普通に使い道を見つけやがるから憎いよな」
「何時だ」
「2時間後」
「何処に」
「駅」
「・・・遠いな」
「電車くれぇ一人で乗れっつーの」
「電車?」
「ああ、同乗させるためだけに、
 呼び出しやがるんだぜあいつ」
「・・・それは・・・良い話を聞いたな」
「あ?」
「やられたんだろう、大方、触られたんだ、車内で!
 よほど不快だったのだろう、その警戒ぶりだと」
「・・・」
「今度はそれで行くか、送り迎え作戦だ」
「生憎俺がいる」
「・・・もう一度留学しろ」
「っつーかてめぇエリックにちょっかい出すんじゃねぇ!」
「黙れ、俺はおまえと違って正当に手段を踏んでいる!
 エリックの意思を尊重し、穏やかに事を運ぶ努力をしている、
 おまえと違ってな」
「・・・」
冷えた目に見つめられ、調子に乗りすぎたらしいと悟る。
荷物の、広がったままの玄関先で、広く日の入る窓のある部屋で、
組み敷かれるなど不本意だった。
それでも腕と手を捕まれたルカスは動くことができない。
「っ・・・!」
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