あんなやつ大嫌い
幸村はペコリと頭を下げると、恥ずかしそうに目を伏せた。

「真田幸村?
武将みたいね…」

「両親が歴史好きで…
真田幸村みたいに強い子になれるようにって…
偶然にも名字が真田だったので…」

女の子の用な外見に、柔らかそうな栗毛、大きな目に可愛い声。

幸村は言われなければ完全に女の子に見える。

「で、幸村くんはクラスに馴染めてなくて…その…」

駿は言葉を探すように視線を動かした。

「いじめられてるんだと。
俺が帰ろうとしたら、ずぶ濡れのこいつが現れて、仕方なく駿兄の所に連れてきたんだよ。
だから、勘違いされる要素はない。
…何か言うことは?」

大将は横目で小鳥を見つめた。

「…あぁもう、分かったわよ!
私が悪かった、ごめんなさい、これで良い!?」

「お前謝る気ないだろ!?」

「何よ!?」

小鳥と大将が睨み合っていると、幸村が目を輝かせながら小さく拍手をしていた。

「「はぁ!?」」

「あっ、すみません!!」
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