月の骨
こうして僕は天文サークルの一員となり、そこで朔夜が僕より二つも年上だと知った。
その時は正直、驚いた。僕自身、大学に入学したばかりだったから、朔夜のことを年下だとは思わなかったけれど、それでも同い歳か一つ上くらいかと思っていた。
今でこそ気にならないけれど、あの頃の年の差は、一年でも大きいことを僕は知っていたから、朔夜が僕よりも年上というのはなかなか信じられなかった。
普段の朔夜は無邪気で、何事にも興味が深く探求熱心で、それからよく転んだ。
サークルの基本方針は男女平等だったけれど、朔夜にだけは望遠鏡を担がせてはいけないというのが絶対暗黙のルールで、朔夜の望遠鏡はだいたい、僕が担いだ。
朔夜はそれに口をとがらせて意義を唱えていたけれど、部室の片隅に置かれた壊れた天体望遠鏡を見る度に、絶対に朔夜に持たせてはいけないと思った。