VALEN-TINE
哉多は急に俯いて、あたしを上目で見た。

「えっそれはー・・・」

哉多が声を細めて言う。
あれ、今日は何でやけに静かなんだ?
いつもは哉多、ケーキだよっとかクッキーだよっとか
素直に言ってくれるのに。

「チョッコ・・レートっ!」

哉多は下を向き、俯いたままそう答えた。
あたしはキッチンを片付けていた手を止めた。

「逆、バレンタインとかいうやつ?」

あたしは声を低くし、なんとも怒っているといわんばかりの声で聞いた。

「違う、趣味。」

今度は哉多がなぜか強がってあたしに言う。
哉多はキッとあたしを睨んだ。

「何??」

あたしは哉多に言った。
哉多はあたしに、



抱きついた。
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