十五の石の物語
案内人の言った通り、サリーはまだ眠っていた。
特に体調が悪いようには見えないのだが、呼び掛けても起きる気配はなかった。

案内人の話によると、あのボワの実は神経系統を冒すらしく、場合によっては数ヶ月も目覚めなかったり、記憶を一部なくしたままの状態になってしまう者もいるのだという。
だが、サリーは、きっともうじき気が付くだろうと案内人は言った。

その言葉に少し安心し、私は食卓に戻った。
おかしなことに、案内人は一緒に食べようとはしなかった。



(まさか、毒でも入っているのか?!
しかし、毒の木の実を食べて倒れた我々を助けてくれた者がそんなことをするはずはない。
それに、今は空腹で倒れそうなのだ。
たとえ、毒が盛られていようがかまうものか!)

食事はやや薄味に感じられたが、美味しいものだった。
もちろん、毒の入っていそうな気配もない。



「なぜ、あなたはご一緒に食事をされないのです?」

「私には普通の人間のような食事は不要なのです。」

その物言いが、私の癇にさわった。



「あなたは度々おかしなことをおっしゃる。
まるで、あなたが普通の人間ではないようなおっしゃりようだ…」

「……気付かれませんでしたか?」

「何をです?」

「私が普通の人間ではないことを…」

「馬鹿な…!」

私は、怒りを込めて案内人の顔をじっとみつめたが、案内人は至って冷静な表情をしていた。
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