さあ、俺と秘密をはじめよう
こんな最悪な雰囲気で朝のSHRが始まった。
先生は点呼をとり、今日の事項を言った。
「えー、今日は1限目の数学と5限目の体育が入れ替わりだ。体育の先生が午後から出張に行くのでってことで入れ替わった。ので1限目の体育はC組と合同体育を行うそうだ。着替えたらグランドに集合だそうだ、以上終わり!」
先生は教室から出て行った。
(体育か…嫌だな…)
そう思いつつ、私はジャージを持って女子更衣室に向かおうと席を立ってドアをあけようとしたところを森さんたちに止められた。
「待ちなよ。あたしたちも一緒にいこうよー?」
仲・よ・く・ねと強調し私の耳元で囁く。
それがなんだか怖くて、その場から逃げ出したかった。
でもここで怖気づいたら私の負けだ。
唇を噛み締め、私は森さんたちを無視して行こうとしたが橋本さんに腕を掴まれジャージを取り上げられた。
「か、返して!」
「ぷっ、返してだってさー。杏子どうする?」
森さんの下の名前は杏子(キョウコ)だ。
「そうねー、焼却炉に入れちゃうとか?」
「杏子ひでーな」
「そんなことないよぅ。じゃあー大樹だったどうするのよ?」
「俺か?そうだなー、カッターで刻み込むだな」
「大樹も杏子も同じようなもんだって」
「なら、美香はどうなんだよ?」
「私?私ならちょうど富田が墨汁持ってきてんのよねー。それかけちゃって、肥溜につけちゃおう!」
「うわー美香の方がひでー。つーか、富田なんで墨汁なんか持って来てんだよ!」
「俺、書道部だから」
「うそつけ!」
富田君と勝重君はじゃれあう。
(肥溜って…)
これは本格的にジャージが使い物にならなくなりそうだ。