恋愛相談は校舎裏で
「……あれ…?」



視界に開けた、久しぶりの光景。


当たり前だけど、どこも変わっていなくて、

変わってるとしたら、落ち葉が少し増えただけ。


でもそこに、私の探す人はいなくて。



「…夏輝先輩…?」



私はキョロキョロと周りを見渡す。



…帰っちゃったのかな……。



誰もいない校舎裏に、心にぽっかりと穴が開いたように急に寂しくなる。


とぼとぼとベンチまで歩き、鞄を下ろしてベンチに置く。



「…まだ、どこかにいるかな…」



ちょっと探したら、まだ学校内にいるかも…。


今日は、そう簡単に諦められない。



そう思い、鞄に背を向けて来た道を戻ろうとすると、


突然、グイッと後ろに腕が引かれた。



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