スパイシーな彼~あなたとの甘く優しい瞬間
久しぶりに家族だけで食卓を囲んだ。


世利の笑顔に、皆で笑って…


世利を母と一緒に風呂に入れて…


祐輝と憲吾について語ることは、一切なかった。


「晴香~今日は世利と寝るかい?」


「うん~右手大分使えるようになったし~一人じゃ寂しいから、世利と寝る~」


「じゃあね…ママ達寝るよ~何かあったら起こすんだよ」


世利は、ずっとあたしに甘えられた今日を喜んで、あたしの傍を離れようとしない…


可愛い我が子の笑顔に、ふと祐輝の面影をみた。


どんなことしたって、祐輝と世利の血のつながりを消すことなんてできない…


本当は自分の中にも、祐輝への情はある…あれだけ苦しんで生んだ世利…あなたが好きだったから生む決心をした世利…


祐輝…今になって思う時があるの。


あなたが、あたしにほんの少しでも、愛情という形を見せていてくれていたなら、どんなに憲吾があたしを求めてくれても、あなたへの気持ちを変えることはなかった…ってね。
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