断崖のアイ
「現状を考える限り、力の均衡が正しく保たれているとはいえません」

 ユーリの声は、少しずつだが強くなっていく。

「ヴァチカン、裏ヴァチカン、『The glory』、『U b W』それぞれに、あなたの見方は異なる」

 ヴァチカンは、あなたの存在を認識したうえでスルーを決め込んでいる──

「それもまた正しい。善悪を決める必要はないのですから」

 力の均衡という意味では、その状態をヴァチカンは貫くでしょう。

 彼らにとって、神の存在を危ぶまなければ全ての存在は神の子です。

「宗教は人の心の拠(よ)り所ではないでしょうか」

 それぞれに、その拠り所は異なる。

「あなたはわたしの拠り所です」

 残されていた暖かな日々すらも終わりを告げ、試練の月日が続くでしょう。しかしそれは、わたしに課せられた運命なのです。
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