カセットテープ
なんとか動き出した芝先は、取って付けたような苦笑いを口に浮かべた。
ここで止めの一撃を掛けるため、英里がたたみかける。
「芝本先生、私達は喫茶店をしたいの。その方向で話を進めてね」
コクコクと、芝先は上下に頭を動かした。
それを見た英里は、勝ち誇ったような表情で楢崎を見た。
「じゃあ、喫茶店という――」
「芝先、この前ビデオ貸したよね、あれどうだった? 他にもこのクラスの男子からCDや本借りてるよね、先生の判断次第じゃどうなるのかな」
物騒な取引を男子側の楢崎に吹っかけられ、芝先は冷や汗を背中にかいた。
どっちに転んでも芝先には、得という言葉は存在しなかった。
ざわざわと教室の外が騒がしいかと思えば、他のクラスは既に帰る前のショートホームルームが終わって、興味津々にこのクラスで起こっている成り行きをドアの隙間から覗いていた。
この上なくピンチな状況を芝先は、頭の中でめまぐるしく、最良と思われる案を考えた。
しかし、そんな案が簡単に浮かぶべくもなく、無駄に終わる。
二者択一の選択肢に、得がなければ損しかないこの状況で取った、芝先の行動とは、
「ということで先生に任せとけ、帰っていいぞ!」
と言って、速やかに教室から逃げることだった。
あっという間に芝先が居なくなった教室から、何処ともなく笑いが漏れた。
そして、生徒達はクラブに行く者や雑談する人など、それぞれが行動し始めた。
「ま、どっちになっても文句無しね」
「わかってる、芝先の判断に任せるさ」
「えらく、芝先の肩を持つのね」
英里はクラブに行く準備をしながら、不思議そうな口調で言った。教師のことを学校の中で、誰よりもよく思っていない楢崎から出た言葉とは思えない発言だから英里もこんなことを言ったのだ。
「芝先は……俺の中では普通の教師とは違うんだよ」
「そう、まあいいわ。さ、クラブ行こ」
英里は立ち上がった。空手の胴着を入れたバッグを持ち上げる。
同じようにキョウも立ち上がった。
「キョウ、この頃あんたのクラブの弓道場うるさいんだけど」
英里は教室から出ていこうとするキョウに並び、話し掛けた。
「俺に言うな、騒がしくししてるのは俺じゃないんだから」
キョウは迷惑そうな表情をした。騒がしいのを好ましく思っていないようだ。
ここで止めの一撃を掛けるため、英里がたたみかける。
「芝本先生、私達は喫茶店をしたいの。その方向で話を進めてね」
コクコクと、芝先は上下に頭を動かした。
それを見た英里は、勝ち誇ったような表情で楢崎を見た。
「じゃあ、喫茶店という――」
「芝先、この前ビデオ貸したよね、あれどうだった? 他にもこのクラスの男子からCDや本借りてるよね、先生の判断次第じゃどうなるのかな」
物騒な取引を男子側の楢崎に吹っかけられ、芝先は冷や汗を背中にかいた。
どっちに転んでも芝先には、得という言葉は存在しなかった。
ざわざわと教室の外が騒がしいかと思えば、他のクラスは既に帰る前のショートホームルームが終わって、興味津々にこのクラスで起こっている成り行きをドアの隙間から覗いていた。
この上なくピンチな状況を芝先は、頭の中でめまぐるしく、最良と思われる案を考えた。
しかし、そんな案が簡単に浮かぶべくもなく、無駄に終わる。
二者択一の選択肢に、得がなければ損しかないこの状況で取った、芝先の行動とは、
「ということで先生に任せとけ、帰っていいぞ!」
と言って、速やかに教室から逃げることだった。
あっという間に芝先が居なくなった教室から、何処ともなく笑いが漏れた。
そして、生徒達はクラブに行く者や雑談する人など、それぞれが行動し始めた。
「ま、どっちになっても文句無しね」
「わかってる、芝先の判断に任せるさ」
「えらく、芝先の肩を持つのね」
英里はクラブに行く準備をしながら、不思議そうな口調で言った。教師のことを学校の中で、誰よりもよく思っていない楢崎から出た言葉とは思えない発言だから英里もこんなことを言ったのだ。
「芝先は……俺の中では普通の教師とは違うんだよ」
「そう、まあいいわ。さ、クラブ行こ」
英里は立ち上がった。空手の胴着を入れたバッグを持ち上げる。
同じようにキョウも立ち上がった。
「キョウ、この頃あんたのクラブの弓道場うるさいんだけど」
英里は教室から出ていこうとするキョウに並び、話し掛けた。
「俺に言うな、騒がしくししてるのは俺じゃないんだから」
キョウは迷惑そうな表情をした。騒がしいのを好ましく思っていないようだ。