カセットテープ
「あの、図々しいのは承知でわかってます。今日、早くに帰らないといけなくて、その……」
音実はまたしても口籠もり言葉を濁した。視線を落とし、胸の前で両手を組んだり解いたりしている。
キョウはなんとなくだが、音実の言いたいことを察知した。
「わかった、今からだな。じゃあ、和弓と矢を持ってきてくれるか?」
キョウのこの言葉に、
「はい!」と音実が視線を上げて勢いよく声を出した。すぐに自分の弓道の道具を取りに行く。
音実は急いで和弓と弓を持ってきてキョウの前まで来た。
立ち上がったキョウは頭一つ半ぐらい背の小さい音実に対して、どう教えようか少し悩んだ。女子を指導もとい教えるのは初めてだからだ。
体格も違えば背や力も違う。男の自分と同じような感覚で教える訳にはいかない。なら、男子と女子が射るときの共通点は何か考えた。
そうなると答えは、構えだ。
「先輩……」
キョウの中でどう教えるかの結論がでたその時に、音実がか細い声を出した。
その声にキョウは目の前の音実を見た。彼女はどこか恥ずかしそうにそわそわしている。
その様子になるほど、とキョウは思った。
どうやら考えている間に見つめていたようだ。
「ああ、ごめん」と、それだけ言って見つめていた理由をキョウは言わない。
「い、いえ」音実はまだ気恥ずかしそうに言った。
「それじゃあ、構えてくれないか」
キョウの言葉に従い、音実は射手位置についた。そして、たどたどしく構える。
キョウは音実の構えた姿を眺めた。
「ちょっとだけ肩幅より足開いて」
「はい!」
「それと顎引いて」
「はい!」
「普通に返事していいから」
「は、はい!」
先輩に教えてもらえるということで音実は緊張していた。しかも端正な顔立ちに全国区で好成績をおさめているキョウにマンツーマンで教えてもらうから、尚更それも仕方ないことだ。それらのこともあり声がいつもよりトーンが高い。
キョウは構えている音実を観察した。これといって構えで、もういうこともないだろうと思い、的を凝視している音実に話し掛けた。
「射ってみて」
キョウに言われて音実は矢を掴んでいる三本の指を離した。放たれた矢は的の右端ギリギリの所に命中する。
音実はまたしても口籠もり言葉を濁した。視線を落とし、胸の前で両手を組んだり解いたりしている。
キョウはなんとなくだが、音実の言いたいことを察知した。
「わかった、今からだな。じゃあ、和弓と矢を持ってきてくれるか?」
キョウのこの言葉に、
「はい!」と音実が視線を上げて勢いよく声を出した。すぐに自分の弓道の道具を取りに行く。
音実は急いで和弓と弓を持ってきてキョウの前まで来た。
立ち上がったキョウは頭一つ半ぐらい背の小さい音実に対して、どう教えようか少し悩んだ。女子を指導もとい教えるのは初めてだからだ。
体格も違えば背や力も違う。男の自分と同じような感覚で教える訳にはいかない。なら、男子と女子が射るときの共通点は何か考えた。
そうなると答えは、構えだ。
「先輩……」
キョウの中でどう教えるかの結論がでたその時に、音実がか細い声を出した。
その声にキョウは目の前の音実を見た。彼女はどこか恥ずかしそうにそわそわしている。
その様子になるほど、とキョウは思った。
どうやら考えている間に見つめていたようだ。
「ああ、ごめん」と、それだけ言って見つめていた理由をキョウは言わない。
「い、いえ」音実はまだ気恥ずかしそうに言った。
「それじゃあ、構えてくれないか」
キョウの言葉に従い、音実は射手位置についた。そして、たどたどしく構える。
キョウは音実の構えた姿を眺めた。
「ちょっとだけ肩幅より足開いて」
「はい!」
「それと顎引いて」
「はい!」
「普通に返事していいから」
「は、はい!」
先輩に教えてもらえるということで音実は緊張していた。しかも端正な顔立ちに全国区で好成績をおさめているキョウにマンツーマンで教えてもらうから、尚更それも仕方ないことだ。それらのこともあり声がいつもよりトーンが高い。
キョウは構えている音実を観察した。これといって構えで、もういうこともないだろうと思い、的を凝視している音実に話し掛けた。
「射ってみて」
キョウに言われて音実は矢を掴んでいる三本の指を離した。放たれた矢は的の右端ギリギリの所に命中する。