あなたたちは私の宝物
その夜、マサと2人になった時に聞いてみた

『どうして何も言ってくれなかったの?』

それでもマサは何も言わないままだった

ずっと黙ったまま

そんなのありえないよ

やっぱり考え直して
結婚したくなくなってしまったのかな

私なんかと一緒に人生を歩む事なんて
出来ないと思っているのかな

何を考えてるのか全然わからないよ

私には伝わってこない

『私、家に帰るよ。子供は堕ろす事にする。
1人じゃ育てていける自信は無いから』

私は立ち上がって帰る準備をし始めた

無責任に子供を作って傷つくのは私だけだった

悔しかった

その時だった

黙っていたマサがようやく口を開いた

『堕ろすって何だよ!何を迷ってるんだ?
好きだって言い合って子供が出来て結婚する。
それのどこに悩む?悩む必要なんてない』

『じゃあ何で何も言ってくれないの?』

『だから、当たり前の事なのに、みんな何を
大変な事だって言って騒いでるのかが
俺には意味がわかんないよ』

『じゃあ…』

『俺らが良くて結婚するって決めたんだから
もう結論は出ただろ』

そう言って私の手を握り締めてくれた

『もう離さないよ』

ようやく微笑んでその言葉を言ってくれた
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