ヰタ・セクスアリス(vita sexualis)物語
「――おい、聞いてるのか純……」
昼休み学校の屋上。純と悪友二人は購買部で買い込んだ昼食を持ちこんで昼休みの一時を過ごしていた。

「どうしたんだよ一体、今日は朝からぼおっとして……何か有ったのか?」

悪友達は凶の純の様子がおかしい事には通学中の電車の中でも感じ取って居た。

「なんだよ、悩んでないで言えよ。力になれるかも知れないだろ」

その言葉が純は素直に嬉しかった。自分が孤立して居ない事は、彼等の思いやりで理解する事が出来て居る。

大学受験との成れば、ひょっとしたら皆と離ればなれになってしまうのかも知れないが出来れば一生付き合いたいと思っている友人達だ。

「――ん、大丈夫だ。俺の結論は前向きだ」

心配してくれる友人達に純は素直に感謝した。そして、もう少し自分の気持ちが整理出来たら、父親の事を皆に話そうと思った。

          ★

純の自宅は私鉄の最寄駅から歩いて十分程の処に有る。そして駅前の喫茶店は、しのぶとの待ち合わせ場所になって居た。
< 39 / 89 >

この作品をシェア

pagetop