空しか、見えない
 四輪駆動のタイヤは小石や砂を踏みしめながらゆっくりと滑り込み、海岸沿いに停車した。

「うわぁ」

 誰からともなく、声にもならない声をあげていた。
 岩井だ。本当に、恵まれた地形の海なのだ。まるで、人の手で描かれたような輪郭のくっきりとした海岸線。こんなにきれいな弓なりの線は、優れた芸術家にだって描けないかもしれない。
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