空しか、見えない
「おーい、義朝」

 純一は、なぜか小声で唄うようにそう呼びかけた。

「おーい」

 誰ともなく、声は続いた。
 空が急に翳り、予報通り、雨粒が落ち始めた。
 佐千子は、さっきまでは晴れていたはずの空から、降ってくる雨を見上げた。
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