空しか、見えない
 環の横で、のぞむは少し俯きながら笑っている。そんな様子は、昔と同じだ。のぞむは、どんなときにも妙に張り切らない。いつも力が抜けていて、側にいるとそれが心地よかった。

「ごじべえで集合ね」

 車に乗り込むと、佐千子はようやく深呼吸ができた。このままひとりで東京へ帰りたいくらいだった。
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