空しか、見えない
「言うべきだった?」

 後部シートの隣で、千夏の柔らかい胸が、佐千子の腕にあたる。

「べきっていうか、だいたい、いつわかってたの?」

 不満気な佐千子に、マリカが続いた。

「千夏さ、どうしてすぐに言わなかったの。別に、複雑な話じゃないじゃない。千夏のそういうところ、物事をこじれさせる原因になるよ」
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