空しか、見えない
「わんこそばの表彰式のときなんかさ、威張って胸張っていいのにさ、やっぱ恥ずかしそうに笑ってたな」

 のぞむが、顔中を皺くちゃにして笑う。温もりのある表情に佐千子には映る。

「なあ、義朝のえへらえへらのバトンは、俺たちが受け取らなきゃな」

「バトンっていうより、おしゃもじでしょ」

 フーちゃんは自前のそれを胸の前に掲げる。
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