空しか、見えない
「今度はこっちが、訊いてるんだよ」

 諭すような言い方だ。のぞむのペースにのまれてしまう。

「今日と明日しかないって、そんなのずるいよ」

「どっちならいい?」

 どうせ会うのなら、会ってしまうのなら今すぐにでも飛んでいきたい気分だった。けれど、メイクも落として、シャワーを浴びたばかりだった。いや、本当はそれだってどうでもいいことだった。寝不足なのも、忘れてしまいそうに上擦っていた。だから佐千子は、少しだけ冷静になりたかった。3年も待ったのだ。それですぐにのぞむに呼び出されて会ってしまうようでは、不甲斐なさ過ぎるではないか。
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