空しか、見えない
 しばらく沈黙が続き、佐千子は出された水を飲み干した。少し冷静になれた気がした。

「素敵な人みたい」

「俺もそう思ったんだ。義朝とは真逆に落ち着いているから、きっとお似合いだよな。この店も、本当にいいバーだ。緊張感はあっても、さりげなくてさ」

「女性のバーテンダーさんって、もしかしてまゆみさん、あのマスターのお嬢さんなのかしら」

「当たり、そういう勘は記者らしいぜ」

 今度は佐千子が苦笑いしてしまう。
< 355 / 700 >

この作品をシェア

pagetop