空しか、見えない
「悪かったね、サチ。連絡のひとつもしなかったのは、本当にすまなかったと思ってる。俺、相変わらず甘くてさ。行ったらどうにかなるだろうなんて考えだったから。何ひとつ、うまくできず、ここでサチに連絡しても泣き言言うだけだって思った。それで、気付くと何年も経ってたよ」

「私のことなんか、どうせ忘れてたのよ」

 佐千子の胸の中に、これまでの思いが溢れ、俯いていまう。
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