空しか、見えない
「トム・ウエイツ、確か『グレープフルーツの月』だったかな。葬儀のときに、ご両親に話そうかとも思ったんだけどね」

「義朝はロックが好きだったんだよね。素敵なタイトルだな」

 フーちゃんが、どこか学校の先生らしく合いの手を入れる。

「お兄ちゃんがずいぶん年上で、影響受けてたんだよね」

千夏も、義朝の思い出話に加わった。

「ナイス・タイミング」

 純一はもう一度まゆみに、そう言って笑いかけた。
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