空しか、見えない
「私も、もう少し泳ぎたかったんだけどな。ようやく少しいい感じを取り戻しかけてるんだけど」

 千夏は、唇をすぼめる。

「ごめんね、ただ、純一がみんなに話があるって。さっきまで私は電話で話していたんだけど、やっぱり直接話してもらおうと思って。環も、向かってるから」

「何なの? どういう話」

 佐千子の深刻そうな口調に、千夏は眉を寄せる。

「とにかく、行かない? 私からより、本人の口から聞いてほしいから。ロッカールームで待ってるからね。着替え、よろしく」

 芙佐絵が首を横に振りながら、返事をしぶっている。

「参ったな、本当はちょっと約束があったんだけど」
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