空しか、見えない
 そんな佐千子にはたぶん、みんなでたったひとつの目標を追いかけていた、ハッチのメンバーに会うのが辛かったのだ。
 自分だけが、まだ泳ぎきれない海を抱えているような気がしていた。
 情けないな。

「みんなで、集まろうよ。たったの8人なんだからさ」

 義朝が、そう言ってわざわざ電話をくれた声が甦ってくる。
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