空しか、見えない
「サセは、忘れてきちゃったんだろう? まさか、もうなくしちゃったとか?」

「あるけど」

 自分だって、思い出の品としておしゃもじを持ってはきたが、まさか首から下げて現れる仲間がいるとは思ってもみなかった。

「じゃあ、見せろよ」

 そう言われて、佐千子はしぶしぶ鞄からおしゃもじを取り出す。ご丁寧にも、ビニール袋に包んできた。長さにして30センチ近い代物なので、鞄からぬっと出てくる。
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