空しか、見えない
 最後の力を振り絞って走りながら、
「せーの」と、ジャンプインする。

「パパ、写真!」

 ゴスケがワンと吠えた。
 そのまま皆、砂浜に倒れ込むと、それぞれの口の中に甘い氷砂糖が放られる。
 互いに誰の体と触れ合っているのかもわからぬほどもつれ合い、どこにそんな力が残っていたのか、腹を抱えて笑い出す。
 佐千子も、そんな姿勢のまま、仰向けになり空を見上げた。それぞれの体から、潮の匂いがする。
 見上げた空は、沖からの空とは、もう少し違って見えた。
 塩辛いのか、甘いのかわからない味が口いっぱいに広がる。
 胸の奥へと、広がる。

                                             (了)
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