空しか、見えない
「パパ、ほら、カメラ。それに、氷砂糖忘れてる」

「おお、そうだ、大変だ」

 ジャンパーのポケットから、カメラを出し、浜に置いてあった大袋入りの氷砂糖を持ち上げる。
 吉本とマリカは、次の芙佐絵と千夏を待ち、ふたりはまた環とまゆみ、純一を待ち、さらに佐千子と息の上がりきったのぞむを待ち、みんなで一列になった。
 一列の背はでこぼこだった。それは、10年前と変わらなかった。
 波打ち際から、おじさんたちのいる方へ、帚で掃かれたきれいな砂の上を走り始める。なぜかそれが、遠い道のりのようにも佐千子には思える。ここからまた、さらに先へと果てしなく続いていく道のようだ。
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