貧乏お嬢様と執事君!
「お嬢様。お体は大丈夫ですか?」
「大丈夫だよカイト」
この二重人格執事がいなければ。
「もうちょっとよ。ほら光が洩れてる」
それとこの悪魔がいなければその喜びは倍増するのだが。
自分が無理やり乗り込んだということを忘れ、いらぬオマケたちを恨んだ。
「………何かしら?」
井筒のねっとりした視線に気づいた椿野が、そっけなく瞳で伊豆をとらえた。
思っていたことを暴露すると半殺しか三分の二以上は確実に殺されるので
「………いや。なんでもないよ」
「だったら見ないでくれるかしら?気持ちが悪いから」
にべもない言葉をさらりとはき、椿野は顔をそらした。
この女とだけは仲良くできそうもないな。
井筒はそうきめつけ、椿野からそっと離れた。