貧乏お嬢様と執事君!


ツリーはまだ光を放っていた。


光の衣をかぶり、赤や青やら光沢を放つ丸い球体がところどころに浮かんでいる。


サンタや松ぼっくりなど、装飾品も充実していた。


鷹司は歓喜の声を上げ、さんさんと輝く目の前のツリーを眺めた。


こんなにきれいなものを見た記憶は、近頃の記憶フォルダにはない。


幼いころには父と見た記憶があるかもしれないが、ゴミ箱へと捨てられてしまっているようだ。


そういえば、


鷹司は瞳を曇らせた。


「最近、お父さんとあってないな………」


鷹司家を追い出されて2年がたとうとしている。


月日がたつのは早いもので、あと1年で高校を卒業してしまう。


そうなったら自分はどうなるのだろうか?


普通のOLとして生きていくのも面白そうだが、はっきり言って家に帰りたかった。


父と由姫華と伯父と、笑って暮らしたい。


< 242 / 333 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop