貧乏お嬢様と執事君!
ツリーはまだ光を放っていた。
光の衣をかぶり、赤や青やら光沢を放つ丸い球体がところどころに浮かんでいる。
サンタや松ぼっくりなど、装飾品も充実していた。
鷹司は歓喜の声を上げ、さんさんと輝く目の前のツリーを眺めた。
こんなにきれいなものを見た記憶は、近頃の記憶フォルダにはない。
幼いころには父と見た記憶があるかもしれないが、ゴミ箱へと捨てられてしまっているようだ。
そういえば、
鷹司は瞳を曇らせた。
「最近、お父さんとあってないな………」
鷹司家を追い出されて2年がたとうとしている。
月日がたつのは早いもので、あと1年で高校を卒業してしまう。
そうなったら自分はどうなるのだろうか?
普通のOLとして生きていくのも面白そうだが、はっきり言って家に帰りたかった。
父と由姫華と伯父と、笑って暮らしたい。