貧乏お嬢様と執事君!


最初のころはずっとそう思っていた


邪心のない鷹司でも、寒さに身を震わせるのより暖かい暖房が利いた部屋の中で読書をしていたい。


しかし、このごろは違った。


これはこれで楽しいのだ、と考えれるようになってきていたのだ。


庶民の暮らしぶりの下を体験することによって、考え方が金持ち脳から360度変わり学んだ。


日々新しい発見の連続で退屈などはしない。


それに、カイトとの生活も楽しい。


冷えた指と指をからませ、少しの熱を求める。


ちらりと横のカイトを見てみると、彼はツリーの輝きより鷹司の安否を心配するような視線を送り続けている。


目があい、あわててカイトが目をそらした。


ふぅっと微笑し、鷹司も目の前にある色鮮やかなツリーの暖かさを心に沁み渡らせていた。


騒がしかった井筒も椿野も、黙って一筋の光輝を眺めていた。


空から月も彼らを照らし、優しく包み込んでいた。


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