貧乏お嬢様と執事君!
その神聖的な空間は、一瞬で弾け飛んだのだが。
「ダブルデートかな?」
「見てあそこのスーツとマフラーしてる子。寄り添ってない?ラブラブだねー」
「黒髪のこと金髪の子ってあれカップル?初々しいねぇ」
プチンっとまず井筒が切れた。
「なななななんで執事と鷹司さんがカップルなんだよ!つーか執事!さりげなく鷹司さんに寄り添ってんじゃねぇよ!」
狼狽のあまり雑な口調で執事を指差した。
「いっいえ、お寒いだろうと………」
「君の行動のほうがよっぽど寒いよ!離れろって!」
執事の左腕と鷹司の右肩を逆の方向へ強く押し、二人を分かちがえた。
カイトは不満げに目をつぶり、井筒の頭を押さえつけた。
「うるさいですね。それとお嬢様に薄汚れた手で触らないで頂けますか?」
「いっいたいいたい!背が縮む!」
万力で地へと埋められそうになっている井筒が悲鳴を上げた。