貧乏お嬢様と執事君!
彼は悪びれた様子もなく謝り、煙草をしまいこんだ。
だが、すきあらば口にくわえようとするので最終的に没収させてもらったのだが。
一方的に鷹司が由姫華に話しかけるという空気がしばらく続き、場は平穏を保たれていた。
由姫華の眉間にしわが寄っていたことぐらいは。
ついに、この和やかムードを由姫華が切り捨てた。
わざとらしいほど荒々しく湯呑を置き、睨みつけるように彼女は切り出したのだ。
「唐突だけど、カイト。あなた私の執事にならない?」
ぱきっと鷹司の笑顔が凍った。
カイトは何度も聞かされた話なのでさほど驚かなかったことにも彼女は驚いたようだ。
「何度も申したはずでございます。私は沙良様の執事。貴方様の執事ではございません」
真剣な瞳でカイトが言う。
由姫華は大げさに肩をすくめた。
「一生をこんなボロ屋で終えるというの?私のところへ来たらいくらでも贅沢させてあげれるのに」
「私はそのようなものを望みません」