貧乏お嬢様と執事君!
はっきりと言い放つカイトに臆することもなく、彼女はつづけた。
「そう?いい話だと思うんだけど………」
「どうする?帰るか?」
レンが帰りを促したが、由姫華は承諾しないという代りに首を振った。
「帰らないわ。カイトがOKというまでは」
「あっあの………どういうこと?」
状況が把握できていない鷹司がここにきて口をはさんだ。
由姫華ははっきりと馬鹿にした目を鷹司に向け
「だーかーらー。カイトがお姉さまの執事をやめて私の執事になるまで帰らないっていうの」
「………へー」
他人事のように言い、鷹司は口を閉ざした。
そんなことはあり得ない、と言っているようにカイトには聞こえたが、それは自分が望むことなので確証は持てない。
柱時計はまた秒を刻んだ。